環境目標とパフォーマンス実績

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気候変動に対する考え方

2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定で、「産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇を、2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の長期目標が掲げられ、日本でも2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言される等、各国で脱炭素社会への移行に向けた動きが加速しています。

本投資法人及び本資産運用会社は、気候変動問題は自然環境と社会構造に劇的な変化をもたらし、本資産運用会社の経営とビジネス全体に重大な影響を与える重要課題だと認識しており、脱炭素社会への貢献は社会的使命だと考えております。

TCFD提言に基づき、気候変動に関するリスクと機会の特定と分析を行い、気候変動に関する情報開示を順次進めるとともに、外部ステークホルダーとの積極的な対話を通じて、社会のニーズや当社への期待を把握しながら、気候関連リスクの低減・機会の実現に向けて継続的に取り組んでまいります。

TCFD提言への賛同

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された国際イニシアチブです。

本資産運用会社は、気候関連課題への取組み方針・体制の明確化と取組み内容の開示拡充を推進するために、2021年12月に「気候変動・レジリエンスポリシー」を制定し、TCFD提言への賛同を表明しました。また2022年1月には、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に加入いたしましたが、同コンソーシアムは2026年4月1日付で改組され、現在は「GXフューチャー・コンソーシアム」となっています。本資産運用会社は、引き続き同コンソーシアムに参加しています。

以下、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言及びIFRS財団傘下のISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が2023年6月に公表したIFRS S1号/S2号を参考に、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」についての情報開示を行います。

GXフューチャー・コンソーシアムの詳細については、こちらをご覧ください。

TCFDGXフューチャー・コンソーシアム

気候変動に関するガバナンス

本資産運用会社は、気候変動に関するリスク及び機会への対応並びに気候関連課題への事業・戦略のレジリエンスに係る取組方針として、「気候変動・レジリエンスポリシー」を定めています。

本ポリシーに従い、気候関連課題に係る執行責任者(サステナビリティ推進に係る部署の部長)は、サステナビリティ推進委員会において、気候変動による影響の識別・評価、リスクと機会の管理、適応と緩和に係る取組みの進捗状況、指標と目標の設定等の気候変動対応に関する事項を、気候関連課題に係る最高責任者(代表取締役社長)に対して定期的に報告します。サステナビリティ推進委員会において、気候変動関連の各課題について審議・検討した上で、代表取締役社長が最終的に意思決定を行います。このような体制のもと、代表取締役社長によって気候関連課題は監督されています。具体的なサステナビリティ推進体制は以下をご参照ください。

サステナビリティ方針・推進体制

戦略

資産運用会社では気候関連リスク・機会を本投資法人の不動産運用業に考慮するため、本投資法人のポートフォリオを対象にシナリオ分析を行いました。気候変動が本投資法人に与えるリスクと機会を識別し、事業への財務的影響を評価するために、国際機関等が公表している将来的な気候予測を主な情報源として参照しながら、「1.5℃/2℃シナリオ」「4℃シナリオ」という2つのシナリオを用いて、以下の通り、定性的な分析を実施しました。

分析対象と前提条件

[対象]本投資法人が保有する全ての物件
[範囲]不動産の投資運用における事業全般
[対象期間]2022年~2050年とし、「中期」、「長期」の時間軸を設定
(中期:2025年~2030年、長期:2031年~2050年)

分析手順

  1. TCFDフレームワークに沿って、気候関連リスク・機会について議論し、本投資法人の事業領域に大きな影響を与え得る要因を特定
  2. ①で特定したリスク・機会について、採用シナリオのパラメーター(将来予測)に基づき、1.5℃/2℃シナリオ・4℃シナリオ下での世界観を整理・把握
  3. ②の将来予測に基づき、本投資法人における定性的な分析を実施し、シナリオ分析における財務的影響を算出し、対応策を設定

主な採用シナリオ

1.5/2℃シナリオ 4℃シナリオ
移行リスク IEA World Energy
Outlook2024 NZE
IEA World Energy
Outlook2024 STEPS
物理的リスク IPCC第5次報告書 RCP4.5 IPCC第5次報告書 RCP8.5

各シナリオにおいて想定される未来像

[4℃シナリオ]

4℃シナリオは、脱炭素社会を実現するための新たな規制や税制等が実施されないために十分な気候変動緩和対策が実現せず、温室効果ガスの排出量が増加傾向となることを前提とした未来像です。気候災害による相対的な物理リスクが大きく、移行リスクが小さいシナリオです。

行政 テナント 投資家 金融機関 気候・気象
レジリエンスに
関する法規制強化
風水害、熱中症対策等
のニーズ増加
投資判断における
物理リスクの
評価の重要度上昇
融資判断における
物理リスクの
評価ニーズ増加
風水害の激甚化や
気温上昇等に伴い
自然災害が増加

[1.5℃/2℃シナリオ]

1.5℃/2℃シナリオは、パリ協定目標の達成、脱炭素社会への実現に向けての社会政策・排出規制や技術投資等が現在以上に進行し、温室効果ガスの排出が減少傾向となることを前提とした未来像です。気候災害による相対的な物理リスクが小さく、移行リスクが大きいシナリオです。

行政 テナント 投資家 金融機関 気候・気象
炭素税導入による
GHG排出量に対する
規制強化
環境性能の高い物件
に対する
入居ニーズ増加
投資判断における
環境規制対応状況・
環境認証評価ニーズ増加
融資判断における
環境規制対応状況・
環境認証評価ニーズ増加
風水害の増加等、
慢性的な気候変動
が一定程度進行

シナリオ分析による財務的影響

本資産運用会社は、前述したシナリオ毎に、識別したリスクと機会の財務的影響を短期、中期、長期の時間軸に分け、本投資法人に対する影響の相対的な大きさを検証しました。財務的影響が一定程度認められる中期、長期の気候変動リスクは以下のとおりです。

  • 「移行リスク」:政策・法規制のリスク、技術のリスク、市場のリスク、評判上のリスク
  • 「急性の物理的リスク」:台風や洪水などの事象に起因する気候リスク
  • 「慢性の物理的リスク」:長期的高温や海面上昇など、気候パターンの長期的なシフトに起因する気候リスク
分類 不動産運用における
リスク・機会の要因
財務への潜在的な影響 区分 財務的影響 対応策
4℃ 1.5℃/2℃
中期 長期 中期 長期
移
行
リ
ス
ク
と
機
会
政策/
法規制
炭素税導入によるGHG排出量に対する規制強化

・炭素税導入に伴い、物件のGHG排出量に応じて税負担が増加

リスク 小 小 中 大

・エネルギーマネジメントシステムや再生可能エネルギーの導入

・保有物件のエネルギー消費量/GHG排出量の計画的な低減

・戦略的な物件入替/物件改修に伴うGHG排出量の改善

・省エネ・節水対応機器の導入

省エネ基準の適合義務化

・省エネ基準への対応のための追加費用が発生し、物件の購入価格、改修費用が増加

リスク 小 小 大 大
環境性能に優れた物件の稼働率及び賃料単価の上昇

・環境性能に優れた物件の保有に伴い、賃料収入が増加

機会 小 小 中 中
環境性能向上による水光熱費の削減

・エネルギー効率改善に伴う水道光熱費の抑制

機会 小 小 小 小
技術 省エネ・再エネ技術の高度化・普及

・新技術導入に伴う改修費用の増加

・ZEB改修による費用増加

リスク 小 小 大 大

・先進技術の導入

・計画的な改修工事の実施

・ZEB改修、省エネ改修の実施

・省エネ・再エネ技術の進展や普及により、物件への導入費用や維持費用が減少

機会 小 小 大 大
市場
・
評判
投資家やレンダーの投融資スタンスの変化

・情報開示を含めた環境対応(緩和策、適応策)の遅れによる投資家、金融機関からの評価低下

・投資口価格の下落やESG格付評価の低下し、ダイベストメントにより、資金調達費用が増加

リスク 小 小 中 中

・保有物件の環境性能に関する十分な情報開示

・気候変動を含むESG関連情報の適切な情報開示

・自然災害リスクの調査・分析および対策の実施

・積極的なグリーンファイナンスの活用

・積極的な情報開示および対応による投資家・金融機関からの評価上昇

・グリーンファイナンスの活用により、資金調達費用が減少

機会 小 小 中 中
テナントの環境性能に関するニーズの変化

・相対的に環境性能が低い物件や環境認証未取得物件の賃料収入が低下

・環境対応遅れによるブランド価値の低下、投資口価格の下落

リスク 小 小 中 中

・環境認証取得比率の向上

・外部機関によるESG評価の向上

・グリーンリース等のテナントとの協働による省エネ対応実施

・省エネ・節水機器導入によるランニングコストの削減

・環境性能が高い物件や環境認証取得済み物件の賃料収入が増加

・率先して環境対応を行うことによるブランド力の向上、投資口価格の上昇

機会 小 小 小 小
物
理
的
リ
ス
ク
急性 風水害の激甚化による損害の増加

・修繕費、保険料の増加

・稼働率低下による賃料収入の減少

・保有物件の浸水防止、損傷、損壊等に備えるための改修費の増加

・猛暑日の増加により冷房需要が増加し、電力使用量が増加

リスク 小 中 小 小

・ハザードマップ等の活用によるリスクアセスメントの実施

・レジリエンスの高い物件および浸水被害を受けにくいエリアの物件保有

・BCP対応強化

・保有物件での緑化推進

慢性 平均気温上昇/海面上昇による被害の増加 リスク 小 小 小 小

【CRREM】

CRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)は、パリ協定で掲げられた1.5℃、2℃目標に整合するGHG排出量削減の道筋(パスウェイ)を不動産の用途ごとに公開しています。
本投資法人(DOI)は、CRREMのリスク評価ツールを用いて、保有不動産のGHG排出量とCRREM 1.5℃の脱炭素経路を比較することで、物件単位のリスクを評価し、必要な改修規模や時期等を把握することでポートフォリオの脱炭素化に向けた運用改善や事業戦略に活用しています。

リスク管理

本投資法人は、気候変動リスクと機会が投資法人の経営活動、戦略、財務計画等に与える影響を識別・評価・管理するためのプロセスを「気候変動・レジリエンスポリシー」に定めています。

  • 気候変動課題に係る執行責任者は、原則として年1回、気候関連リスク・機会の整理を行い、サステナビリティ推進委員会に対して進捗報告を行います。
  • サステナビリティ推進委員会では、本投資法人の運用に影響を与える事業・財務計画上に重要な気候変動リスクと機会を継続的に識別・評価・管理しており、上記報告を元に、事業戦略上の優先課題を整理します。
  • 気候関連課題に係る最高責任者は、サステナビリティ推進委員会で審議された重要な優先順位の高い気候関連リスクを既存の全社リスク管理プログラムにおいても考慮するよう指示し、リスク識別・評価・管理プロセスの統合を図ります。

指標と目標

本投資法人は、脱炭素社会への移行を機会と捉え、気候変動リスク・機会の管理プロセスにおける主なモニタリング指標として、以下をKPI(重要指標)として設定し、気候変動対策を進めています。

環境目標

項目 単位 削減目標
エネルギー 消費量(MWh) -
消費原単位(MWh/㎡) 2030年までに7%削減(2023年度対比)
GHG排出量 SCOPE1+2(t-CO2) 2030年までに42%削減(2023年度対比)
SCOPE3(t-CO2) 2030年までに25%削減(2023年度対比)
水 消費量(㎥) -
消費原単位(㎥/㎡) 2030年まで2023年度の水準を維持

環境パフォーマンス実績

本投資法人は保有する不動産において、ESGへの取組みとして策定した中長期目標に合わせ、エネルギー消費量・CO2排出量・水消費量等の把握に努めています。

項目 単位 実績
2023年度
(基準年度)
2024年度 2025年度 基準年度比
増減率
エネルギー 消費量(MWh) 87,008 80,156 81,044 -6.85%
消費量原単位(MWh/㎡) 0.180 0.161 0.162 -10.04%
GHG排出量 SCOPE1+2(t-CO2) 9,207 10,944 10,512 14.17%
SCOPE3(t-CO2) 41,339 50,365 129,725 213.81%
水 消費量(㎥) 318,833 340,199 353,534 10.88%
消費量原単位(㎥/㎡) 0.658 0.685 0.706 7.35%
廃棄物 排出量(t) 3,455 4,146 4,270 -
リサイクル量(t) 1,642 2,458 2,417 -
リサイクル率(%) 47.530 59.280 56.612 -

環境マネジメントシステム

省エネルギー、CO2排出削減、水資源の有効利用を推進するため、本投資法人において、環境マネジメントシステムを構築しています。エネルギー使用量、CO2排出量、水消費量を対象として、目標設定、実績把握、予実管理、対策実行(PDCAサイクル)を行い、環境負荷低減を通じた持続可能なサステナブルな社会実現への貢献に努めています。